残念な防災図鑑　６

横浜市のオフィス街にある防災コンサルティングを行う株式会社防災小町では、日々さまざまな依頼が舞い込んでくる。

「小松先輩、今日は美容室からの依頼ですねぇ」
渡辺さんがのんびりと資料をめくりながら言う。
「美容室？そんな場所でも防災対策が必要って思われてるんだね」
小松さんは軽く眉をひそめながら興味を引かれた様子で答えた。

今回の依頼は、横浜市中心部にある美容室からのもの。地震の際に鏡や器具が落ちてこないか心配だということだった。お客さんが多く出入りする美容室では、安心してサービスを受けてもらうためにも防災対策が重要になる。

美容室に到着すると、店長が笑顔で迎えてくれた。
「こんにちは、こちらがうちの美容室の現状です」
店内を案内してくれたが、確かに壁一面に大きな鏡がずらりと並んでおり、地震が起こったらどうなるか心配になる配置だった。

「これだけ大きな鏡があると、倒れたり割れたりした時のリスクが高いですね。まずはしっかりと固定されているか確認しましょう」
小松さんが冷静にチェックを始める。鏡は壁に固定されているが、その固定具が年数が経過し、やや弱っていることがわかった。

「この固定具はもう少し強化したほうがいいですねぇ」
渡辺さんが柔らかく助言すると、店長も納得してメモを取る。
「実際に震度6や7の地震が来た場合、どうなるかを想像しておくことが大事です。鏡だけでなく、シャンプー台やカット用の椅子も移動しないように対策を考えましょう」
小松さんがさらに詳細な説明を始めた。

「シャンプー台が動いてしまうと危ないですもんねぇ」
渡辺さんが相槌を打ちながら優しく説明を補足する。

さらに、非常口の確認をした際、通路に少し物が置かれていた。
「非常口の前には何も置かないようにしましょう。非常時にスムーズに避難できないと危険です」
小松さんがすかさず指摘すると、店長はすぐにその場で整理を始めた。

「美容室はお客様が常にいる場所だからこそ、細やかな対策が必要ですねぇ。小さな事故でも大きなトラブルに繋がりかねませんし」
渡辺さんが優しく店長に話しかけると、店長も改めて防災対策の重要性を実感したようだった。

仕事を終え、二人は美容室を後にする。
「美容室って普段はそんなに危険を感じないけど、いざという時のために対策をしっかりしておかないといけないんですねぇ」
渡辺さんが感慨深げに言う。
「そうだね。どんな場所でも、いつ何が起こるかわからない。だからこそ、普段からしっかり準備しておくことが大切だよ」
小松さんは笑顔で頷いた。

こうして、二人の防災対策の仕事は続いていく。どんな現場であれ、彼女たちがしっかりとした助言を与えることで、少しずつ改善が進んでいくのだろう。