横浜市のオフィス街にある防災コンサルティングを行う株式会社防災小町では、日々さまざまな依頼が舞い込んでくる。
「小松先輩、今日はカフェからの依頼ですねぇ」
渡辺さんがゆっくりと資料をめくりながら言う。
「カフェ?小さいお店でも防災対策は必須だからね。よし、しっかりチェックしよう」
小松さんは資料を手に取り、軽く頷いた。
今回の依頼は、横浜市のオシャレなカフェ。オーナーが地震や台風の時にお客様を安全に避難させられるか心配しているというものだった。特にカフェの多くは家具やインテリアが多いため、落下物や転倒事故のリスクがある。
カフェに到着すると、オーナーがやや緊張した表情で迎えてくれた。
「こんにちは、こちらがうちのカフェです。おしゃれさを重視しているので、防災対策はあまり考えたことがなくて…」
店内を見渡すと、アンティーク家具や棚に並ぶ小物が目を引く。美しい空間ではあるが、地震が起こったら落ちてきそうなものが多い印象だった。
「まずは、棚や飾り物がしっかり固定されているか確認しましょう。これだけ小物が多いと、落下物で怪我をする危険性が高いです」
小松さんが冷静に指摘する。
「そうですよねぇ。地震が来たら、おしゃれどころじゃないですもんねぇ」
渡辺さんが柔らかく補足しながら、棚を軽く揺らしてみた。案の定、いくつかの小物がグラグラと揺れて不安定だった。
「おしゃれさは大事ですけど、安全もそれと同じくらい大切です。まずは棚を壁に固定し、小物類を少し減らしてもいいかもしれませんね」
小松さんは的確なアドバイスをする。オーナーは驚いたような顔で頷きながらメモを取った。
「あと、このカフェの非常口はどちらですか?」
小松さんが聞くと、オーナーは店の奥を指差した。しかし、その前にはいくつかの椅子やテーブルが置かれていて、避難時には障害になりそうだった。
「この配置だと、いざという時にスムーズに避難できないかもしれません。非常口の前はできるだけスペースを空けておくべきです」
小松さんが指摘すると、オーナーはすぐに配置を考え直すと言った。
「お客様が多いカフェでは、何かあった時にパニックになることもあるので、避難ルートが確保されていると安心ですねぇ」
渡辺さんが優しく話しかけると、オーナーも少しほっとした表情を浮かべた。
仕事を終え、二人はカフェを後にする。
「カフェみたいにリラックスできる場所でも、防災対策はちゃんと考えなきゃいけないんですねぇ」
渡辺さんが感心したように言う。
「どんな場所でも、安心して過ごせる空間を作ることが大事だよ。おしゃれと安全、どっちも両立させられるはずだ」
小松さんはにこやかに答えた。
こうして、二人の防災対策の仕事は続いていく。どんな現場であれ、彼女たちがしっかりとした助言を与えることで、少しずつ改善が進んでいくのだろう。