横浜市に住む女子高生、小松みくは、他の同級生とは少し違った趣味を持っている。それは「防災」。小松さんは、小さい頃に地震で怖い思いをして以来、ずっと防災について興味を持ってきた。地震や台風など、いつ何が起こるかわからない災害に備えるため、彼女は独自の「防災ノート」を作り、そのノートには自分が調べた知識や、オリジナルの防災術がぎっしりと詰まっていた。
ある日、小松さんはそのノートを持って、商店街を歩いていた。いつも通り、何か防災に役立つものがないかと目を光らせていたところ、近所のパン屋のおばさん、山田さんが困った顔をしているのを見かけた。
「どうしたんですか?」と声をかける小松さん。
山田さんはため息をつきながら言った。「最近、地震が多くてね。このお店、大きな棚があるんだけど、もし揺れたら商品が全部落ちてきちゃうんじゃないかって心配で…どうしたらいいのかしら」
小松さんは少し考え、防災ノートを開いた。「うーん、まずは棚の上に重いものを置かないこと。それから、L字金具で壁にしっかり固定するのがいいですね。それなら、揺れても安心です」小松さんはノートを見せながら、具体的な手順を説明した。
山田さんは感心しながら、「なるほどね!そんな簡単なことができるなんて思わなかったわ。ありがとう、小松さん!」と笑顔を見せた。
次の日、小松さんは自治会館に呼ばれた。町内会長の佐藤さんが、防災訓練の準備で頭を抱えていたのだ。小松さんが到着すると、佐藤さんは焦った様子で言った。「どうやって住民全員にこの避難経路を覚えてもらうかが問題なんだよ…」
小松さんはまたノートを広げ、地図やチェックリストがびっしりと書き込まれたページを見せた。「ゲーム形式にしてはどうでしょうか?クイズを出して、正しい避難経路を選んだ人には小さな景品をあげるとか。みんなで楽しみながらやれば、きっと覚えやすくなりますよ!」
そのアイデアに佐藤さんも乗り気になり、町内会の防災訓練は成功に終わった。住民たちは楽しみながらしっかりと避難経路を頭に入れ、次の災害時には素早く対応できる自信を持てるようになった。
小松さんはその後も、商店街や自治会、さらにはオフィスで働く人たちにまで、防災に関する相談を受けるようになった。彼女のノートは少しずつ分厚くなり、そこに記された防災知識は多くの人々に役立っていた。
ある日、小松さんはふと思った。「防災って、ただ備えるだけじゃなくて、みんなが安心して暮らせるようにすることなんだな」
防災ガール、小松みくの秘密ノートは、今日も新しいアイデアでいっぱいになっていく。彼女の小さな行動が、横浜の街を少しずつ安心な場所に変えていることを、小松さん自身はまだ知らないのかもしれない。