横浜市に住む女子高生、小松みくは、他の同級生とは少し違った趣味を持っている。それは「防災」。小松さんは、小さい頃に地震で怖い思いをして以来、ずっと防災について興味を持ってきた。地震や台風など、いつ何が起こるかわからない災害に備えるため、彼女は独自の「防災ノート」を作り、そのノートには自分が調べた知識や、オリジナルの防災術がぎっしりと詰まっていた。
その日の放課後、小松さんは学校からの帰り道、近所の老人会館の前を通った。中では数人の高齢者が集まり、何か相談ごとをしている様子だった。少し気になって様子をうかがうと、館長の渡辺さんが心配そうに話していた。
「最近、また台風の季節が近づいているけど、みんなの家の備えは大丈夫かな?停電が長引くこともあるし、避難所に行けない高齢者も多いし…」
小松さんはすかさず声をかけた。「もしよかったら、少し防災のアドバイスをさせてもらってもいいですか?」
渡辺さんと高齢者の皆さんは驚きながらも、小松さんの申し出を受け入れた。彼女は防災ノートを開き、まず停電対策について話し始めた。
「まず、停電時に備えて懐中電灯や予備の電池を用意することが大切です。それから、携帯電話を充電できるポータブル充電器も用意しておくと安心ですよ。高齢者の方が使いやすい、シンプルな手回し式の充電器なんかもおすすめです」
渡辺さんが「なるほどね」と頷き、高齢者たちも興味深げに聞き入った。
次に、小松さんは非常食の準備についてもアドバイスをした。「固いものだと食べにくい場合があるので、柔らかい食べ物やレトルトのおかゆなんかを用意しておくといいですね。それに、水分補給がしやすいように、スポーツドリンクやゼリー飲料も備蓄すると良いですよ」
最後に、小松さんは避難所に行けない場合の自宅での安全確保についてもアドバイス。「家具が倒れてこないように固定しておくことや、避難経路を確保するために通路を広くしておくのも重要です。地震で扉が開かなくなることもあるので、簡易工具を手元に置いておくと安心です」
渡辺さんと高齢者たちは「これならすぐにできそうだね」と感謝の言葉を口にした。小松さんの防災ノートに書かれた知識が、また一つ役立った瞬間だった。
防災ガール、小松みくの秘密ノートは、今日も新しいアイデアでいっぱいになっていく。彼女の小さな行動が、横浜の街を少しずつ安心な場所に変えていることを、小松さん自身はまだ知らないのかもしれない。