新しい防災のカタチ：思い込み防災

防災と聞くと、多くの人が「これで大丈夫だ」と思い込み、準備を終えた気持ちになってしまうことがあります。

しかし、実際の災害時には、その「思い込み」が大きなリスクを生むことがあるのです。

この記事では、そうした「思い込み防災」の危険性を解説し、正しい防災対策の在り方について考えます。

思い込み防災とは？

「思い込み防災」とは、自分が十分な備えをしていると思い込むことで、実際には不十分な状態で災害に備えてしまうことを指します。

例えば、非常持ち出し袋が家にあれば安心だと思い込んでいるが、実際にはその中身が不十分だったり、古くなって使えなくなっていたりするケースです。

また、災害が自分の住む地域には来ないという楽観的な思い込みも危険です。

思い込み防災には、いくつかのパターンがあります。

以下に、よくある思い込みの例を挙げてみます。

「家に非常用持ち出し袋があるから安心」
非常持ち出し袋があること自体は良いことですが、その中身が時代遅れだったり、家族の人数に合っていなかったりするケースがあります。また、実際に袋を背負って避難できるか確認していないこともあります。袋の中身の定期的な見直しや、実際に持ち運んでみることが重要です。
　
「避難所があるから大丈夫」
多くの人が、避難所が開設されているから自分は大丈夫だと考えます。しかし、実際には避難所に収容できる人数には限りがあり、全員が入れるわけではありません。さらに、避難所が自宅から遠かったり、移動手段が限られていたりする場合には、スムーズな避難が難しくなります。避難所に頼らず、自宅避難や親戚宅での避難を想定しておくことが必要です。
　
「スマートフォンがあれば情報はすぐに手に入る」
災害時にはインターネットや携帯電話の通信が遮断されることがあります。そのため、スマートフォンだけに頼らず、ラジオや電池式の情報端末など、別の手段も準備しておくことが重要です。

思い込みによる防災は、実際の災害発生時に命を危険にさらすリスクがあります。

次に、思い込み防災の具体的なリスクについて考えてみます。

備蓄不足
「これくらいあれば大丈夫」と思い込み、実際には食料や水が災害時に足りなくなるケースがあります。特に、家族の人数や必要なカロリー量を正確に把握しておかないと、長期的な避難生活に必要な物資が不足してしまいます。
　
避難ルートの確認不足
災害が発生した際、最も近い避難場所までのルートを確認していないと、思わぬ障害に遭遇することがあります。土砂崩れや洪水などで通行が困難になる場合もあるため、複数の避難ルートを事前に調べておくことが大切です。
　
医薬品や日用品の見落とし
特に薬を必要とする人や、赤ちゃんがいる家庭では、非常持ち出し袋に薬や日用品を忘れてしまうことがあります。普段から必要なものをリスト化し、万全の準備をしておきましょう。

思い込み防災を防ぐためには、常に自分の備えを見直し、最新の情報を取り入れることが重要です。

次のような具体的な対策を取り入れることで、思い込みによる防災リスクを軽減できます。

定期的な備蓄の見直し
非常食や飲料水は、定期的に賞味期限や保存状態を確認し、古くなったものを新しいものと入れ替える「ローリングストック法」を実践しましょう。これにより、常に新鮮な食料を確保し続けることができます。
　
防災訓練の実施
家族全員で定期的に防災訓練を行い、避難ルートや非常持ち出し袋の確認をしましょう。訓練を行うことで、実際に何が足りないのか、何がスムーズに運ばないのかが明らかになります。特に、小さな子供や高齢者がいる家庭では、彼らがどのように避難できるかをシミュレーションしておくことが大切です。
　
最新の防災情報の取得
思い込み防災を避けるためには、常に最新の情報を把握しておくことが重要です。自治体の防災情報や、国の最新ガイドラインを定期的に確認し、必要に応じて自分の防災対策を更新しましょう。

「思い込み防災」は、十分な備えをしているつもりでも、実際にはリスクを見過ごしてしまう危険な状態です。

災害に備えるためには、常に自分の準備を見直し、最新の防災情報を取り入れることが大切です。

定期的な備蓄の見直しや防災訓練を通じて、実際にどのような状況でも対応できる準備を整えましょう。

思い込みを排除し、真に安全な生活を守るために、今からでも対策を始めてみてください。