横浜市のオフィス街にある防災コンサルティングを行う株式会社防災小町では、日々様々な依頼が舞い込んでくる。
「小松先輩、今日は保育園からの依頼ですよ」
渡辺さんが柔らかな声で伝える。
「保育園か…。小さな子どもたちがいるから、避難の仕方が難しいだろうね。迅速な対応ができるようにしっかり見ていこう」
小松さんは少し気を引き締めながら答えた。
今回の依頼は、横浜市内にある保育園から。
地震や火災など、災害が発生した際に、どのように園児たちを安全に避難させればいいか、具体的なアドバイスを求めていた。
二人が保育園に到着すると、園長が出迎えてくれた。
「こんにちは。子どもたちの安全を第一に考えたいんですが、どこから手をつけたらいいのかわからなくて…」
園長は少し不安げな表情を浮かべていた。
「まずは、園内を見せていただき、避難ルートや安全対策を確認させてもらいますね」
小松さんは、手早く園内の確認を始めた。
園内には、子どもたちが遊ぶ広場や、お昼寝のための部屋が整っていたが、いくつか気になる点があった。
「お昼寝のスペースが窓際にありますが、これは危険です。ガラスが割れたらすぐ近くに飛び散る可能性があるので、配置を変えたほうがいいですね」
小松さんの指摘に、園長は驚きながらメモを取っていた。
「確かに、そのことは考えていませんでした…すぐに改善します」
「窓には飛散防止フィルムが貼られていないようですが、貼ることで地震時のガラスの飛散を防ぐことができますよ」
渡辺さんが柔らかい口調でアドバイスすると、園長は「そうですね、すぐに手配します」と頷いた。
次に二人は、非常口の確認に移った。廊下にはいくつかのおもちゃが散らばっており、避難の際に障害物となりかねなかった。
「この廊下、日常的には問題ありませんが、非常時にはここが避難経路になります。おもちゃや荷物はきちんと整理して、いつでも避難できる状態にしておく必要があります」
小松さんが真剣に話すと、園長は「すぐに整理します」と答えた。
さらに、防災グッズの確認を行ったが、保育園には備蓄品が少ないことが分かった。
「もし災害が起きて、避難が長引いた場合、食事や飲み物の確保が問題になります。園児たちを守るためにも、もう少し防災グッズの備蓄を増やすことをお勧めします」
小松さんのアドバイスに、園長は再びメモを取りながら「備蓄を見直します」と答えた。
「最後に、避難訓練の頻度について確認させてください。どのくらいの頻度で行っていますか?」
渡辺さんが優しく尋ねると、園長は少し困った表情を浮かべた。
「年に一回だけなんですが、それだとやっぱり少ないですよね…?」
「そうですね。特に小さな子どもたちは、繰り返し訓練を行うことで、避難の流れを覚えやすくなります。年に数回は実施することをお勧めします」
小松さんが真剣に答えると、園長は「ありがとうございます。早速、回数を増やします」と決意した。
こうして、二人は保育園の防災対策をしっかりと見直し、改善点を伝えた。
「保育園では、特に子どもたちの命を守るための対策が必要ですねぇ」
渡辺さんが優しく話すと、小松さんも「そうだね。日々の備えが、いざというときに大きな違いを生むからね」と答えた。
こうして、二人の防災対策の仕事は続いていく。
どんな現場であれ、彼女たちがしっかりとした助言を与えることで、少しずつ改善が進んでいくのだろう。