• より良い防災施策をご提案いたします。

横浜市に住む女子高生、小松みくは、他の同級生とは少し違った趣味を持っている。

それは「防災」小松さんは、小さい頃に地震で怖い思いをして以来、ずっと防災について興味を持ってきた。

地震や台風など、いつ何が起こるかわからない災害に備えるため、彼女は独自の「防災ノート」を作り、そのノートには自分が調べた知識や、オリジナルの防災術がぎっしりと詰まっていた。

その日は小松さんが学校からの帰り道で、近所の大型マンションの前を通りかかったときのことだった。

ふと見ると、マンションの管理人である伊藤さんが、建物のエントランスで他の住民たちと話し合っている様子が見えた。

顔を見合わせると、伊藤さんが手を振って近づいてきた。

「おお、小松さん!ちょうどいいところに来てくれた」

伊藤さんは苦笑いを浮かべた。

「実は今、マンションの防災対策について話し合ってたんだ。最近の地震や台風で不安が増してね。でも、何から始めればいいのか悩んでいてさ」

「そうなんですね」

小松さんは頷き、話の内容に耳を傾けた。

「例えば、非常階段の確認とか、防災グッズの用意とかから始めてみてはどうでしょうか?」

「確かに、それは大事だな」

伊藤さんが頷くと、近くにいた住民の中村さんが話し始めた。

「でも、防災グッズってどこまで揃えればいいのか分からないんだよね。水とか食料はもちろんだけど、それ以外に何が必要なのか…」

小松さんは笑顔で応じた。

「それなら、まずは『持ち出し袋』を準備するのが良いですね。水や食料のほかに、懐中電灯やバッテリー、救急セットも忘れずに。それと、特にマンションなら、停電対策が重要です。エレベーターが使えなくなると大変なので、階段で移動できるようにしておくと安心です」

「なるほど、持ち出し袋か…」

中村さんはメモを取りながら

「うちは高層階だから、停電になったら確かに困るな。エレベーターに頼りすぎてたかも」

と気づいた様子だった。

すると、また別の住民が手を挙げて「じゃあ、避難訓練とかもやった方がいいのかな?」と質問した。

「はい、避難訓練は絶対にやった方がいいです」

小松さんは力強く頷き、

「特にマンションの場合、火災が起こったときの避難経路を把握しておくのが大事です。煙が充満しても迷わないように、定期的に確認しておきましょう。それと、逃げる際はエレベーターを使わず、非常階段を使ってくださいね」

「そうか、非常階段のチェックも大事なんだな」伊藤さんが感心したように言った。「実は普段あまり気にしてなかったから、今度みんなで確認してみよう」

「それともう一つ、マンションの住民全員で情報を共有できる仕組みを作ると良いです」小松さんは提案を続けた。「例えば、LINEグループや掲示板を活用して、災害が起きたときの集合場所や連絡方法を決めておくと安心です」

伊藤さんは目を輝かせ「それいいね!すぐにでも準備を始めよう」と決意を新たにした。

「小松さん、本当にありがとう。君の知識にいつも助けられてるよ」

「お役に立てて嬉しいです。何か困ったことがあれば、また声をかけてくださいね」

と小松さんは笑顔で返し、防災ノートを閉じた。

防災ガール、小松みくの秘密ノートは、今日も新しいアイデアでいっぱいになっていく。

彼女の小さな行動が、横浜の街を少しずつ安心な場所に変えていることを、小松さん自身はまだ知らないのかもしれない。