横浜市に住む女子高生、小松みくは、他の同級生とは少し違った趣味を持っている。
それは「防災」小松さんは、小さい頃に地震で怖い思いをして以来、ずっと防災について興味を持ってきた。
地震や台風など、いつ何が起こるかわからない災害に備えるため、彼女は独自の「防災ノート」を作り、そのノートには自分が調べた知識や、オリジナルの防災術がぎっしりと詰まっていた。
ある日の夕方、小松さんは近所のカフェ「カフェ・ミモザ」でお茶をしていた。
ちょうどテラス席に座っていたとき、カフェのオーナー、吉田さんが苦笑いしながらやってきた。
「小松さん、ちょうどよかった。ちょっと聞いてもいいかな?」
「もちろんです。どうしたんですか?」
と小松さんはお茶を飲みながら答えた。
「実はね、最近このカフェの防災対策をどうしようか悩んでて。特に地震が来たときに、お客さんが安心して避難できるようにしたいんだけど、何から手をつけたらいいか分からなくてね」
「それなら、まずは避難経路の確認が大事ですね」
小松さんはすぐに防災ノートを開いた。
「特にカフェのような場所では、避難口がどこにあるかをきちんと表示することが重要です。お客さんがパニックにならないように、普段から確認しておくといいですよ」
吉田さんは真剣にメモを取り始めた。
「そうか、確かに避難口の表示はちょっと見えにくい場所にあるんだよな…それを改善しないと。でも、他に何か気をつけることってある?」
「テーブルや椅子の配置も大切です。もし地震が起きたとき、すぐに動けるように通路は広く保っておいた方が良いですね。それに、棚の上に重いものを置かないようにすることも大事です。落ちてきたら危ないですから」
吉田さんは「なるほど、そういう細かいところも考えないといけないんだね」と感心したように頷いた。
「うちのカフェ、インテリアにこだわってて、いろいろ飾りたい気持ちはあるんだけど…やっぱり安全が優先だな」
「そうですね。でも、おしゃれさを保ちつつ安全にする方法もありますよ」
小松さんはアイデアを思いついたように続けた。
「例えば、棚に飾るものを軽くて壊れにくいものにするとか、地震対策用のジェルシートで固定することができます。それなら、地震が来ても安心ですよね」
「ジェルシート?そんな便利なものがあるのか」
吉田さんは驚いた表情を浮かべた。
「知らなかったよ、それならすぐに取り入れられそうだ」
「あと、防災グッズも準備しておくといいです。懐中電灯や非常食、お水なんかをカフェの裏に備蓄しておくと、万が一お客さんがここに避難してきたときに役立ちます」
吉田さんは再びメモを取りながら「うん、それもやってみよう。小松さん、本当に頼りになるね」と感謝を述べた。
「いえいえ、こちらこそお役に立てて嬉しいです。お店の防災対策が整うと、お客さんも安心して過ごせますからね」
と小松さんは微笑んだ。
「また分からないことがあったら、ぜひ相談させてね」
「もちろんです。いつでもどうぞ!」
小松さんは防災ノートを閉じ、カフェの落ち着いた雰囲気を楽しみながら、お茶の続きを味わった。
防災ガール、小松みくの秘密ノートは、今日も新しいアイデアでいっぱいになっていく。
彼女の小さな行動が、横浜の街を少しずつ安心な場所に変えていることを、小松さん自身はまだ知らないのかもしれない。