• より良い防災施策をご提案いたします。

横浜市に住む女子高生、小松みくは、他の同級生とは少し違った趣味を持っている。

それは「防災」 。

小松さんは、小さい頃に地震で怖い思いをして以来、ずっと防災について興味を持ってきた。

地震や台風など、いつ何が起こるかわからない災害に備えるため、彼女は独自の「防災ノート」を作り、そのノートには自分が調べた知識や、オリジナルの防災術がぎっしりと詰まっていた。

ある日の夕方、小松さんは商店街を歩いていると、雑貨屋「サクラギ」の店主、佐藤さんが店の前で悩んでいる様子を見かけた。いつも明るい佐藤さんが珍しく頭を抱えているのが気になり、小松さんは声をかけた。

「佐藤さん、どうかしましたか?」

佐藤さんは顔を上げて、小松さんに笑顔を見せた。

「ああ、小松さんか。実はね、店の防災対策をもっとしっかりしたいと思ってるんだけど、どこから手をつければいいのか分からなくて」

「防災対策ですか。それなら、私がアドバイスしますよ!」

小松さんはすぐに防災ノートを取り出し、佐藤さんの話に耳を傾けた。

「ありがとう、助かるよ。最近地震が多いし、うちの店にはガラス製品が多いから、何かあったときが心配でね」

「そうですね、ガラス製品が多いお店だと、やっぱり地震のときに割れやすいですよね」

小松さんは考えながらノートをめくり、対策をまとめ始めた。

「まずは、棚に置いてあるガラス製品を固定しておくことが大切です。地震対策用のジェルシートで、棚にしっかり貼り付けておくと良いですよ」

「ジェルシートか。聞いたことはあるけど、使ったことはないな。簡単に使えるのかい?」

「はい、とても簡単です。貼るだけなので、力もいりませんし、お客さんが手に取るときも問題なく動かせます」

佐藤さんは安心した様子で頷いた。

「それなら、すぐに取り入れてみるよ。でも、それだけで大丈夫かな?」

「それともう一つ、ガラスの割れた破片が飛び散らないように、ガラス飛散防止フィルムを貼るのもおすすめです」

小松さんは熱心に説明を続けた。

「割れても破片が散らばらないから、お客さんの安全も守れますし、掃除も楽になるんです」

「なるほど、それは良さそうだ。正直、掃除の手間も心配してたんだよ」

佐藤さんは笑いながらメモを取り出し、書き留めた。

「じゃあ、他に何か気をつけるべきことはある?」

「はい、あともう一つ。避難経路を確保しておくことです。商品がたくさん並んでいると通路が狭くなりがちなので、避難口までの通路はできるだけ広くしておくといいですよ」

小松さんは指をさして、店内の配置を指摘した。

「確かに、今のままだとちょっと狭いかもね。お客さんが慌てて逃げるときに、物にぶつかったりしないようにしないと」

「そうです。もしものときのために、避難訓練も考えておくと安心です。スタッフの方たちと一緒に、どのルートで避難するかを事前に確認しておくといいですね」

「うん、それもやってみよう。小松さん、本当にありがとう。こんなにしっかりアドバイスしてもらえるなんて思わなかったよ」

「いえ、私も防災のことを考えるのが好きなので。少しでも役に立てたなら嬉しいです」

「これでお店の安全がもっと高まるね。小松さんに頼んで正解だった」

「ありがとうございます。これからも何かあったら、いつでも相談してくださいね」

小松さんは笑顔で防災ノートを閉じた。

防災ガール、小松みくの秘密ノートは、今日も新しいアイデアでいっぱいになっていく。

彼女の小さな行動が、横浜の街を少しずつ安心な場所に変えていることを、小松さん自身はまだ知らないのかもしれない。