横浜市に住む女子高生、小松みくは、他の同級生とは少し違った趣味を持っている。
それは「防災」 小松さんは、小さい頃に地震で怖い思いをして以来、ずっと防災について興味を持ってきた。
地震や台風など、いつ何が起こるかわからない災害に備えるため、彼女は独自の「防災ノート」を作り、そのノートには自分が調べた知識や、オリジナルの防災術がぎっしりと詰まっていた。
その日の午後、小松さんは商店街の奥にあるカフェ「アオバ」で休憩していた。
カフェのオーナー、鈴木さんがいつもとは違う深刻な表情でカウンターの中に立っていた。
小松さんが気になって声をかけた。
「鈴木さん、どうしたんですか?」
鈴木さんは小さくため息をついてから、近くの席に腰を下ろした。
「実はね、うちのカフェでも防災対策をもっと強化したくて。でも、どこから手をつけていいのか分からなくてね。特に火災が心配なんだ」
「火災ですか…それは確かに怖いですよね」
小松さんはすぐに防災ノートを取り出し、考え込んだ。
「まず、火災報知器がきちんと設置されているか確認するのが大事です。それから、消火器の位置もお客さんやスタッフがすぐに見つけられるようにしておくといいです」
「消火器は一応置いてるんだけど、見えにくい場所にあって…やっぱり目立つところに移した方がいいか」
「そうですね。それに、消火器の使い方もみんなが分かっていると安心です。定期的にスタッフさんと一緒に練習してみてください」
「なるほど、確かに練習しておけば、いざというときに焦らずに済むかもな」
鈴木さんはメモを取りながら、小松さんの話を真剣に聞いていた。
「あと、火災のときに避難経路がちゃんと確保されているかも重要です。カフェの中で通路が狭くなっている場所はありませんか?」
「うーん、ちょっと通りにくいところがあるかもしれないな」
鈴木さんは店内を見回していた。
「そういうところはすぐに見直しておきます。お客さんが安心して来られるようにしたいからね」
「それと、もし火災が発生した場合、煙が充満することが多いので、煙が広がりにくいようにドアや窓を開けて換気する方法も考えておくといいです」
「確かに、煙が怖いんだよな…小松さん、本当にありがとう。防災のこと、全然分からなかったけど、だいぶイメージがついてきたよ」
鈴木さんは少し安堵した表情で言った。
「お役に立てて良かったです。それから、防災グッズとして懐中電灯やマスクも用意しておくと便利ですよ。火災のときだけじゃなく、停電や地震のときにも役立ちますから」
「なるほどね。確かに何が起きるか分からないし、備えておくに越したことはないな」
鈴木さんは頷いて、もう一度店内を見回した。
「よし、これからすぐに見直しを始めるよ。小松さん、本当にありがとう」
「いつでも相談してくださいね。またカフェに来ますから」
小松さんは微笑んで防災ノートを閉じた。
防災ガール、小松みくの秘密ノートは、今日も新しいアイデアでいっぱいになっていく。
彼女の小さな行動が、横浜の街を少しずつ安心な場所に変えていることを、小松さん自身はまだ知らないのかもしれない。