横浜市に住む女子高生、小松みくは、他の同級生とは少し違った趣味を持っている。
それは「防災」 小松さんは、小さい頃に地震で怖い思いをして以来、ずっと防災について興味を持ってきた。
地震や台風など、いつ何が起こるかわからない災害に備えるため、彼女は独自の「防災ノート」を作り、そのノートには自分が調べた知識や、オリジナルの防災術がぎっしりと詰まっていた。
放課後、小松さんは学校近くの公園で同級生の美咲と待ち合わせをしていた。
美咲は部活を終えたばかりで、少し疲れた顔をしていた。
「待たせちゃった?」
「ううん、大丈夫だよ」
小松さんは微笑んで答えた。
「それより、どうしたの?何か困ってるみたいな顔してたけど」
「実はね」
美咲はリュックからメモを取り出した。
「私の家、最近お母さんが防災に興味を持ち始めたんだけど、何を準備したらいいのか分からなくて困ってるの」
「それなら手伝うよ」
小松さんは防災ノートを取り出し、ページをめくり始めた。
「まず、防災グッズを揃えるなら、持ち出し袋を準備するのが基本だよ」
「持ち出し袋かあ…何を入れたらいいの?」
美咲は少し首をかしげながら聞いた。
「まずは水と非常食だね。3日分くらいを目安にして。あと、懐中電灯や予備の電池、携帯電話を充電できるバッテリーも必要だよ」
「そんなにたくさん…大きな袋が必要だね」
「そうかもしれないけど、軽いものを選ぶようにするといいよ。それと、家族の人数に合わせて内容を調整してね」
「なるほど。そういえば、避難場所も確認しておいた方がいいんだよね?」
「その通り」
小松さんは頷きながら、美咲の家がどこにあるかを確認した。
「美咲の家からだと、一番近い避難場所は小学校だよね。地図でルートを確認しておくと、いざというときに迷わず行けるよ」
「そうか、家族で一度確認しておいた方がいいね」
美咲はメモを取りながら言った。
「あと、ペットがいる家の場合、ペット用の防災グッズも必要になるよ」
「ペット用?そんなのもあるんだ」
「例えば、ペットフードや水、トイレシート、それに移動用のキャリーバッグとかね。避難所によってはペットの受け入れルールが違うから、事前に確認しておくのも大事だよ」
「そんなこと、全然考えてなかった…お母さんに話してみるね」
美咲は感心した表情でメモを取り続けていた。
「小松さん、本当にありがとう」
「どういたしまして。何か分からないことがあったら、いつでも聞いてね」
「また頼るかもしれないけど、よろしくね」
「もちろん」
小松さんは微笑み、防災ノートを閉じた。
防災ガール、小松みくの秘密ノートは、今日も新しいアイデアでいっぱいになっていく。
彼女の小さな行動が、横浜の街を少しずつ安心な場所に変えていることを、小松さん自身はまだ知らないのかもしれない。