• より良い防災施策をご提案いたします。

横浜市に住む女子高生、小松みくは、他の同級生とは少し違った趣味を持っている。

それは「防災」 小松さんは、小さい頃に地震で怖い思いをして以来、ずっと防災について興味を持ってきた。

地震や台風など、いつ何が起こるかわからない災害に備えるため、彼女は独自の「防災ノート」を作り、そのノートには自分が調べた知識や、オリジナルの防災術がぎっしりと詰まっていた。

その日の夕方、小松さんは近所の自治会館を訪れていた。

自治会長の佐藤さんから、防災について相談があると言われていたからだ。

会議室に通されると、佐藤さんが笑顔で迎えてくれた。

「小松さん、来てくれてありがとう」

「いえ、こちらこそお役に立てるなら嬉しいです」

小松さんはノートを取り出して椅子に座った。

「実はね、最近この地域で防災訓練をやる話が出てるんだ。でも、高齢者が多くて、どんな内容にすればいいか悩んでいて」

「高齢者の方が参加しやすい訓練ですね」

小松さんは少し考え込んでから、提案を始めた。

「まず、避難経路を確認することが大切です。地図を使って、全員が避難場所までのルートを把握できるようにするのが良いですね」

「なるほど、地図を使えば分かりやすいね。でも、それだけだと訓練として物足りない気もするんだ」

佐藤さんは少し困った顔をした。

「それなら、ゲーム形式にしてみてはどうですか?」

「ゲーム形式?」

佐藤さんが目を丸くすると、小松さんは微笑んで続けた。

「例えば、災害が起きた想定で、みんなに役割を決めてシミュレーションをするんです。避難場所に必要な物資を持っていく係や、緊急連絡をする係など、役割を与えることで、全員が楽しみながら学べます」

「それは面白そうだね。参加者も興味を持ってくれそうだ」

「それと、避難所でのルールを事前に確認しておくことも大事です」

小松さんはノートをめくりながら言った。

「例えば、スペースの確保や、共有物資の使い方など、避難所生活の基本を知っておくと、混乱を減らせます」

「確かに、避難所ではトラブルが起きやすいって聞いたことがある」

佐藤さんは頷きながらメモを取った。

「それともう一つ。高齢者の方にとって特に大切なのは、健康管理です」

小松さんは力を込めて言った。

「避難所では運動不足になりがちなので、軽い体操を取り入れるのもいいと思います。それに、持病の薬や処方箋のコピーを準備しておくと安心です」

「なるほど、健康面も大事だね。小松さん、さすがだよ」

「ありがとうございます。あとは、防災グッズの準備も忘れないようにしてくださいね」

「うん、早速取りかかるよ。小松さん、本当にありがとう」

佐藤さんは満足そうに微笑み、小松さんも安心した様子で防災ノートを閉じた。

防災ガール、小松みくの秘密ノートは、今日も新しいアイデアでいっぱいになっていく。

彼女の小さな行動が、横浜の街を少しずつ安心な場所に変えていることを、小松さん自身はまだ知らないのかもしれない。