たったひとつの備蓄食だから

たったひとつの備蓄食だから

202X年、日本は未曾有の大災害に見舞われた。

地震、津波、そして原発事故。多くの人々が家を失い、避難生活を余儀なくされた。

そんな中、一人の男性がいた。

彼は、たったひとつの備蓄食を抱えて、避難所生活を送っていた。

その備蓄食は、彼の亡き妻が好きだった、思い出のカレーだった。

「このカレーを食べれば、きっと妻のことが思い出せる」

そう信じて、彼は毎日、そのカレーを食べていた。

ある日、避難所の食料が底を尽きてしまった。人々は、空腹に耐えながら、何日も過ごした。

そんな中、彼は、自分の備蓄食を他の人々に分け与えることを決意した。

「このカレーは、妻がみんなに分け与えてくれたものだ」

そう言って、彼は、自分の備蓄食を皆に振舞った。

皆は、彼のカレーをおいしそうに食べていた。

「ありがとう」

「このカレーは、すごくおいしい」

皆は、彼に感謝の言葉を述べた。

彼は、皆の笑顔を見て、心から嬉しかった。

「妻も、きっと喜んでくれるだろう」

彼は、そう思いながら、亡き妻に思いをはせた。

 

おわり

この小説はフィクションです。実在の人物や団体とは関係ありません。