地震の揺れを表す指標である「震度」は、私たちの日常において、災害情報として頻繁に耳にするものです。
しかし、震度には「震度5弱」「震度5強」「震度6弱」「震度6強」という分類が存在し、震度1や2、3、4には「弱・強」という区分がありません。
この違いに疑問を感じたことがある方も多いのではないでしょうか?
この記事では、震度5と震度6にだけ「弱」と「強」の区分がある理由について、詳しく解説していきます。
震度は、地震によって地表や建物に感じる揺れの強さを表す指標です。
日本では、気象庁が定めた「震度階級」という基準に基づいて、地震の揺れを震度0から7までの10段階に分類しています。
震度は地震そのもののエネルギーではなく、各地域で感じた揺れの強さを示しており、地震の規模(マグニチュード)とは異なる指標です。
震度0から4までは、比較的軽い揺れであり、一般的には被害が少ない範囲の地震です。
一方、震度5以上になると、家具が倒れたり、建物に損傷が発生したりすることがあり、より具体的な対策が必要となる段階です。
震度5と震度6だけに「弱」「強」の区別がある理由は、被害の範囲や建物への影響に大きな差が出るためです。
震度4までは、揺れの強さにあまり差がないため、細かく区分する必要がありませんが、震度5や6では、地震による影響が劇的に異なることがあります。
特に、建物の倒壊リスクやインフラの被害などが、わずかな揺れの違いで大きく変わるため、より詳細な区分が求められました。
例えば、震度5弱では家具が動いたり、物が落ちたりする程度の揺れであることが多いのに対し、震度5強になると、建物の壁や柱にひびが入るなど、構造に影響を与えることがあります。
このように、震度5と6に「弱」「強」をつけることで、具体的な対策や警戒レベルを判断しやすくしています。
震度5弱と震度5強の違いを詳しく見てみましょう。
震度5弱
・多くの人が地震を強く感じ、立っていられなくなることがある。
・食器や棚の中の物が落ちることがあるが、建物への大きな損傷は少ない。
・家具が多少動くことがあるが、倒れることは稀である。
震度5強
・ほとんどの人が恐怖を感じ、身の安全を確保しようとする。
・食器や棚の中の物が多く落ち、固定していない家具が倒れることがある。
・古い建物や耐震性の低い構造物にはひびが入り、部分的に損傷が発生する。
このように、震度5弱と5強では、揺れの強さだけでなく、その影響範囲や被害の程度にも差が出るため、2つに区分されているのです。
震度6では、さらに被害の大きさが異なります。
以下は、震度6弱と震度6強の違いです。
震度6弱
・歩くことが非常に困難であり、多くの家具が倒れる。
・建物にはひびが入り、古い建物や耐震性の低い建物は部分的に崩れる可能性がある。
・瓦やガラスが落ち、道路や鉄道などのインフラに被害が出ることもある。
震度6強
・立っていることがほぼ不可能で、ほとんどの家具が倒れる。
・耐震性の低い建物は倒壊し、耐震性の高い建物でも損傷が出ることがある。
・道路や橋、鉄道などのインフラに深刻な被害が発生することがあり、停電や水道の断絶などが広範囲で起こる可能性が高い。
震度6強になると、一般的な建物でも損傷を受ける可能性が高くなり、被害範囲が非常に広くなるため、災害時の対応もより緊急を要します。
一方で、震度7には「弱」「強」の区分がありません。
これは、震度7以上の地震になると、揺れの強さや被害の大きさが極めて深刻であり、さらに区分を細かくする必要がないとされているためです。
震度7の地震では、ほとんどの建物が損傷し、インフラ全体が大きな被害を受けるため、「弱・強」を区分するよりも、その後の対応や避難が最優先となります。
震度5や震度6に「弱」と「強」の区分がある理由は、わずかな揺れの違いが大きな被害の差につながるためです。
震度5弱や震度6弱では、多少の被害は出るものの、まだ安全対策が間に合う場合も多いのに対し、震度5強や震度6強になると、建物やインフラに大規模な被害が発生する可能性が高くなります。
これらの区分は、より正確な防災情報を提供し、住民の安全確保を図るために設けられています。
防災意識を高めるためにも、日頃から震度についての知識を深め、いざという時に備えた行動を取ることが大切です。