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なぜ災害時はLINEではなくSMSを使うのか?

大きな地震や台風などの災害が発生した際、多くの人が家族や友人と連絡を取ろうとします。
そのとき、「LINEで大丈夫」と思いがちですが、実は災害時にはSMS(ショートメッセージサービス)を優先すべき理由があります。
この記事では、なぜ災害時にSMSが推奨されるのかを、実際の災害時の通信状況や仕組みに基づいて分かりやすく解説します。

なぜ「LINE」は使いづらくなるのか?

通常時には非常に便利なLINEですが、災害時には通信が不安定になり、思ったようにメッセージが送れないことがあります。
その理由の一つは、LINEが「データ通信」を必要とするアプリであることです。

災害時には、多くの人が一斉にスマホを使って連絡を取ろうとするため、携帯電話会社の回線が非常に混雑します。
特にデータ通信のネットワークは負荷がかかりやすく、LINEのようなアプリは接続エラーを起こす、メッセージが届かない、既読がつかないなどの問題が発生しやすくなります。

また、LINEはインターネットを通じたサーバー型の通信方式を取っており、サーバー側がダウンしたり遅延したりすると、アプリ全体が使えなくなる可能性もあります。

SMSはなぜ強いのか?

一方で、SMSは音声通話と同じ「携帯電話の基本機能」の一つとして扱われており、インターネット回線ではなく電話回線の仕組みを利用しています。
このため、データ通信が混雑していても、比較的スムーズに送受信できる特性があります。

SMSは文字数が限られているシンプルな通信手段ですが、それが逆に強みでもあります。メッセージのサイズが小さい分、回線への負担も軽く、混雑時でも届きやすいのです。
さらに、相手がスマートフォンでなくても、ガラケーでも受信できるという互換性の高さも災害時には重要なポイントになります。

通信制限下では「短く・確実に」が基本

災害時には、通信事業者がトラフィックを制限する「通信制御」が行われることがあります。
これは、ネットワークの混乱を避けるため、通話や通信を一定の割合で抑制する仕組みです。
このような状況下では、大容量のデータ通信や長文のメッセージは通りにくくなるため、「短く」「確実に」届くSMSの方が有利です。

さらに、SMSは受信通知がなくても端末に直接届くため、相手がネットに接続していなくても確認できます。
つまり、「届く可能性が高い」うえに「相手が見られる確率も高い」という、非常に実用的な手段なのです。

SNSでの連絡は補助的に

もちろん、LINEやTwitter(X)、InstagramなどのSNSを通じて安否を伝えたり情報を集めたりすることも、災害時には有効な手段です。
ただし、それはあくまでも「回線が混雑していない場合」や「Wi-Fiなどの別の通信手段が確保できている場合」に限られます。

災害直後は、多くの人が一斉にアクセスを試みるため、SNSがつながりにくくなることが予想されます。
そのような場合には、SMSで最小限の情報を伝え、「無事です」「あとで連絡します」など、短くても要点を押さえたメッセージを送ることが効果的です。

実際の災害での教訓

過去の災害では、LINEがまったく使えなかったという声も少なくありません。
たとえば東日本大震災や熊本地震の際には、回線が混雑し続け、LINEはほぼ役に立たなかったという報告もあります。
反対に、SMSやショートメールが届いたことにより、家族の安否が確認できたという事例も多く見られました。

災害時の連絡手段は、「普段の便利さ」ではなく「非常時の確実性」で選ぶ必要があります。

まとめ

災害が発生した直後の混乱の中では、スマホの便利なアプリが必ずしも役に立つとは限りません。
LINEは平時には大変便利なツールですが、災害時には通信の混雑やサーバーダウンの影響を受けやすいため、最も確実に連絡を取る手段としてはSMSの方が優れています。

家族や大切な人との連絡手段を見直すときには、災害時を想定して、「まずSMS」「必要に応じてSNSや通話」といった優先順位をあらかじめ決めておくと安心です。
いざという時に慌てないよう、日頃から連絡方法の確認や練習をしておきましょう。