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来る確率は0%でも来る可能性が存在する確率100%

災害に対する備えを考えるとき、私たちは「確率」という言葉に惑わされがちです。
「この地域で大地震が起こる確率は30年以内に10%」と聞くと、多くの人が「それなら当分来ないだろう」と安心してしまいます。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。
実際には、「来る確率が0%に見えても、来る可能性は常に存在している」という認識こそが、防災における最も重要な出発点なのです。

なぜ「0%でも来る」と考えるべきなのか?

私たちが日常的に接する確率は、あくまで過去のデータや理論に基づいた予測値にすぎません。
たとえば、「30年以内に70%の確率で地震が発生」と言われる場合、それは30年間ずっと起きない可能性もあるということです。
そして反対に、「確率が低い」とされている地域でも、明日突然大災害が起こるかもしれません。

この不確実性こそが、災害リスクの本質です。
自然災害は、私たちの理解や予測を超えたタイミングで起きることがあるため、「来ないと思っていたら、実際に来た」という状況がいくらでも起こり得ます。

「確率」と「可能性」は違う

ここで一度、「確率」と「可能性」の違いについて整理してみましょう。

確率とは、統計的な数字に基づく発生の見込みです。
つまり「何%の頻度で起こるか」という定量的な表現。
一方、可能性とは、起こり得るかどうかの有無を示すもので、ゼロではない限り常に存在するという考え方です。

つまり、ある地域で「地震の確率は極めて低い」と言われていても、「可能性は100%存在している」と捉えることが、真に意味のある防災の姿勢なのです。

「油断」と「確実な備え」は共存できない

多くの人が「まだ来ないだろう」と思って備えを後回しにします。
けれども、災害は私たちの都合を待ってくれません。
地震、豪雨、津波、火山噴火──どれも「今日起きない保証」はどこにも存在しないのです。

災害の確率が低いからといって備えないことは、たとえるなら「明日は事故に遭わないだろう」と信じてシートベルトをしないようなものです。
予測できない事態にこそ備えるのが、防災の本質です。

「来るかもしれない」と思うことが命を守る

日々の暮らしの中で「今日は何もないだろう」と思うのは自然なことですが、「でも、もしかしたら」を忘れてはいけません。
その一瞬の気づきが、命を守る行動につながります。

たとえば、非常用持ち出し袋を玄関に置いておくこと、家族と避難場所を確認しておくこと、自宅の耐震化を見直すこと。
こうした一つひとつの備えが、「来る可能性100%」の世界で生きる私たちにできる、現実的な対処法なのです。

「過剰な不安」ではなく「合理的な警戒」を

災害への備えというと、「怖がりすぎ」「神経質すぎ」といった声が上がることがあります。
しかし、防災とは不安を煽るためではなく、安心して生活するための準備です。
むしろ「起こらないと信じる」ほうが、リスクに対して無防備になってしまう危険があります。

「0%と思っていたけど、まさか来るとは思わなかった」と後悔する前に、「来る可能性があるから備えていた」と言える自分でいるために、今こそ一歩踏み出すときです。

まとめ

災害は「確率」で測るものではなく、「可能性」に備えるものです。
「来る確率は0%でも、来る可能性が存在する確率は100%」という視点は、日々の防災を根本から見直すきっかけとなります。
安心を手に入れるためには、「起きるかもしれない」前提で備えをすること。
今すぐできる小さな行動が、将来の大きな後悔を防いでくれるのです。