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なぜ、ほとんどの人が「良い話を聞いた」で終わってしまうのか?

防災セミナーや地域の講演会、防災訓練などで「とても参考になった」「勉強になった」と感じた経験がある人は多いでしょう。
しかしその一方で、実際に備蓄を始めたり、避難経路を確認したりといった「具体的な行動」に移せている人は決して多くありません。
なぜ、多くの人が「良い話を聞いた」で終わってしまうのでしょうか?

この問題の背景には、心理的なハードルや生活の中での優先順位の低さ、そして「今は大丈夫だろう」という思い込みが隠れています。
本記事では、行動につながらない原因と、それを打破するためのヒントを防災の視点から掘り下げていきます。

人は「危機」を現実として捉えづらい

人間の脳は、本能的に「今、目の前にある危機」には素早く反応できますが、「いつ来るか分からない未来の災害」に対しては、どうしても優先順位を下げてしまう傾向があります。
地震や台風の被害映像を見て一時的に危機感を持っても、それが時間とともに薄れていくのは自然な反応です。

特に日本では、過去に何度も災害が起きているにもかかわらず、毎日が平穏に過ぎていくことで「今回は大丈夫だろう」という正常性バイアスが働き、行動のきっかけを失ってしまいがちです。

行動するには「面倒くささ」の壁がある

防災の話を聞いて、「よし、やろう」と思っても、いざ実際に備えを始めようとすると、面倒なことが次々に出てきます。
何を備えればいいのか、どれだけ準備すればいいのか、どこに置くのか、どれくらい費用がかかるのか……。
これらを一つひとつ判断し、行動に移すには、思っている以上にエネルギーが必要です。

この「面倒くささの壁」が、行動の大きなブレーキとなっています。
そして、「また今度やろう」と先送りしているうちに、備えの機会が失われていきます。

防災を「非日常」から「日常」へ

「良い話を聞いた」で終わらせないためには、防災を特別なことにしないことが重要です。
つまり、非日常の対策ではなく、日常生活の中に自然に組み込む工夫が必要なのです。

たとえば、普段使っている食品や日用品を少し多めにストックし、使ったら補充する「ローリングストック法」は、防災備蓄を無理なく習慣にする代表的な方法です。
また、家族と出かけた際に避難場所を確認する、地震速報が出たときに一言「今なら何ができるか」を話すなど、日常の延長線上で防災を考える習慣を持つことで、備えが少しずつ前進していきます。

最初の一歩は「とにかく小さく」

人は大きなことを一気にやろうとすると、逆に動けなくなってしまいます。
だからこそ、防災も最初の一歩は「小さく」「今すぐできること」から始めることが効果的です。

・ペットボトルの水を1本買っておく
・非常用持ち出し袋にメモ帳を入れる
・家族と「災害時、どこで会おうか?」と話してみる

こうした些細な行動でも、始めた瞬間に「行動している人」へと変わります。
そして一度行動を起こせば、それを広げていくのは案外スムーズです。

行動が「習慣」になると、防災は続けられる

一度防災グッズをそろえただけでは、それは“備え”とは言えません。
日々の生活の中で、定期的に見直し、更新し、家族で共有することで、初めて「続けられる備え」になります。
つまり、防災は「一度きりの行動」ではなく、「続けるための仕組みづくり」が重要なのです。

その第一歩を踏み出すためには、「良い話を聞いた」で終わるのではなく、「その場で一つやってみる」という意識が何よりも大切です。

まとめ

「良い話を聞いた」で終わってしまうのは、人間として自然な反応です。
しかし、命を守る防災は、それだけでは不十分です。
未来の自分と家族を守るために、今できる小さな一歩を踏み出すこと。
それが、確かな備えへとつながっていきます。

大切なのは、完璧な準備ではなく、動き出すこと。
話を聞いたその日のうちに、1つだけでいいので行動してみましょう。
それが、あなたと大切な人の未来を守る第一歩になります。