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そなえるだけじゃだめですか?

災害に備えることは大切だと多くの人が認識しています。
非常食を買い置きしたり、防災グッズをリュックに詰めておいたり、家族と避難場所を確認したり。
そうした行動は、確かに命を守るための重要なステップです。
しかし、そこで一つ問いかけたいのが、この言葉です。

答えは、残念ながら「はい、だめです」です。
備えることはスタートラインにすぎず、真に大切なのは、その備えをどう使いこなすか、そして実際の行動に結びつけることです。
この記事では、なぜ備えるだけでは不十分なのか、その理由と行動の重要性について掘り下げていきます。

備えがあっても使えなければ意味がない

いくら最新の防災グッズをそろえていても、いざというときに使い方が分からなければ、それはただの荷物にすぎません。
たとえば、手動式のラジオを持っていても、暗闇の中でどこを回せば音が出るか分からなければ意味がありません。
ガスボンベのコンロがあっても、点火の方法が分からなければ調理はできません。

備えはあくまで道具です。その道具を使いこなすスキルと判断力がなければ、命を守る力にはなりません。
つまり、備えは「持っていること」ではなく「使えること」が重要なのです。

行動しなければ備えは生かされない

たとえば、地震が起きた瞬間に安全な場所に身を寄せる行動をとれるかどうか、火災が起きたときに煙を避けて避難できるかどうか、それは知識と日頃の訓練があるかどうかで大きく変わってきます。
どんなに準備をしていても、その場で適切な判断と行動ができなければ、備えは活かせません。

実際の災害では、混乱の中で冷静に動ける人は限られています。
だからこそ、日頃から防災の行動を体に染み込ませることが求められるのです。
頭の中だけで考えるのではなく、体を使って覚えることが必要になります。

想定を超える状況に備えるには

防災訓練や備蓄品のチェックは、あくまでも「想定内」の災害への備えです。
しかし、実際の災害では、その想定を簡単に超える状況が起こります。
避難所が満員だったり、道路が寸断されていたり、自宅が使えなくなっていたり。
そうした想定外の事態にどう対応するかは、マニュアルに書かれていない判断力と柔軟な行動力が鍵となります。

想定外に備えるというのは、すべてを予測することではなく、予測できないことに動じない準備をしておくということです。
これは、知識・経験・対話・振り返りによってしか養われません。

備えたら「試す」「話す」「改善する」

備えるだけではなく、それを日常で少しずつ試してみることが大切です。
備蓄している非常食を実際に食べてみたり、防災リュックを背負ってみたり、停電を想定して夜の照明をすべて消して行動してみるなど、小さな実践を繰り返すことで、本当に使える備えに育っていきます。

また、家族や周囲の人と防災について「話す」ことも非常に効果的です。
何を持っているか、どう連絡を取るか、避難はどのルートか、話すことで抜けや盲点に気づきやすくなります。
そこから改善し、より現実的な備えへとアップデートしていくことが、命を守る力に直結します。

防災は「暮らしの延長」であることが理想

特別なことをしようとすると、どうしてもハードルが上がります。
しかし防災は、日々の暮らしの中に溶け込ませることができます。
ローリングストックで食品を回したり、定期的にスマホの充電器を確認したり、散歩のついでに避難経路を歩いてみたり。
無理なく、自然に、防災が暮らしに組み込まれている状態が、もっとも強い備えです。

その状態を作るには、やはり「備えたままにしない」という意識が不可欠です。

まとめ

そなえることは、防災の入り口として非常に大切です。
しかし、それだけでは命は守れません。使える備えにするためには、試して、動いて、考えて、話す。実際に行動することで、備えは初めて意味を持ちます。
そなえるだけで終わらせず、その先の一歩を、ぜひ今日から始めてみてください。