• より良い防災施策をご提案いたします。

予測可能回避可能なリスク

災害と聞くと、いつ起きるか分からない、どうしようもない運命のように感じる人も多いかもしれません。
しかし、すべての災害が突然降ってくるものではありません。
実は私たちの身の回りには、あらかじめ予測できて、しかも適切な行動によって回避できるリスクが数多く存在しています。

これらは、予測可能回避可能なリスクと呼ばれ、正しい知識と意識を持つことで多くの被害を防ぐことが可能です。
本記事では、こうしたリスクとは何か、どのように備えるべきかを、具体例を交えて分かりやすく解説していきます。

身の回りに潜む予測可能なリスクとは

例えば、日本列島は世界有数の地震大国です。
特定の時期や場所での発生を正確に予測することは難しくても、一定の周期で地震が起きている地域や活断層の位置、地形による揺れやすさなど、地震の発生リスクはある程度把握することができます。

また、台風や大雨は、気象庁の予報によって進路や強さが数日前から予測されており、洪水や土砂災害の危険性も警報やハザードマップによって事前に知ることができます。

つまり、情報を受け取り、行動する準備さえ整えておけば、命を落とすような危険は多くの場合、回避できるのです。

回避可能なリスクは「気づき」と「準備」で防げる

重要なのは、予測可能なリスクがあるということを知るだけでなく、それを自分ごととして捉えることです。
たとえば自宅の近くに川があれば、増水時にどこまで水が来る可能性があるのかをハザードマップで確認し、いざというときにどこに避難すべきかを家族で共有しておくことができます。

また、高齢者や障害のある家族がいれば、避難にかかる時間や方法についても事前にシミュレーションしておくべきです。
これらは難しいことではありませんが、日々の忙しさにかまけて先延ばしにされがちです。

しかし、命に関わるリスクを後回しにすることは、極めて大きな代償を伴います。

なぜ私たちは予測できるリスクを見過ごすのか

人は不都合な情報を無意識に遠ざける傾向があります。
災害のニュースを見て一時的に危機感を持っても、日常生活に戻るとすぐにその記憶は薄れてしまいます。
これを正常性バイアスと呼びます。

また、過去に大きな被害を受けていない地域では、「ここは安全だから大丈夫」という根拠のない安心感が支配することもあります。
こうした思い込みこそが、予測可能なリスクを見逃してしまう原因です。

だからこそ、防災は感情に頼らず、データと事実に基づいた冷静な判断が必要になります。

リスクを正しく知り、正しく恐れること

災害に過剰な恐怖を抱く必要はありませんが、軽視して無視することはもっと危険です。
大切なのは、リスクを正しく知り、必要な対策を冷静に講じておくことです。

たとえば地震対策としては、家具の固定やガラス飛散防止フィルムの設置、非常用持ち出し袋の準備など、今すぐできることがいくつもあります。
大雨の時期には、自宅周辺の排水溝を確認し、天気予報をこまめにチェックすることで、避難のタイミングを逃さずにすみます。

これらは決して難しいことではありません。
小さな行動の積み重ねが、大きな被害を防ぐ力になるのです。

予測可能だからこそ、回避可能にできる

リスクを予測できるということは、被害を最小限に抑えるためのヒントがすでに手の中にあるということです。
その情報を見過ごさず、しっかりと受け取り、自分や家族の行動に落とし込むことこそが、防災の本質です。

予測可能回避可能なリスクを他人事にせず、具体的なアクションにつなげること。
それが、命と暮らしを守る最も確実な方法です。

まとめ

予測可能回避可能なリスクとは、正しい情報と適切な行動によって、私たち自身が被害を避けることができる災害の危険です。
災害を完全に防ぐことはできなくても、被害を最小限に抑えることは可能です。
日々の中で小さな備えを重ね、リスクを知り、行動することが、私たち一人ひとりに求められています。
見えているリスクから目を背けず、今、できることを始めましょう。