地震が来なかった。台風も通り過ぎた。
川も氾濫せず、停電も起きなかった。
そんな「何もなかった一日」を、あなたはどんな気持ちで終えていますか。
なんとなく無事だった、という安心感で終わらせてしまってはいませんか。
防災において最も大切なことのひとつは、「今日何も起きなかった」という事実を、軽視せず、深く意味づけていく姿勢です。
何もなかった日にこそ、本当の備えができるのです。
この記事では、日常の中にこそある防災のチャンスと、何も起きなかったことを「備え」につなげる考え方を紹介します。
災害は予告なくやってきます。
しかし、いざ災害が発生したとき、すべての人が同じように対応できるわけではありません。
なぜなら、「起きる前の時間をどう過ごしていたか」が、行動の質とスピードを決定づけるからです。
つまり、何も起きていない今こそ、最も大きなアドバンテージを持っている状態です。
この平穏な1日を「ありがたい偶然」として終わらせるのではなく、「備えの時間」として活用することで、未来のリスクに備える力が身につきます。
例えば、今日という一日を振り返ってみてください。
これらは、災害が起きてからでは手遅れになることばかりです。
今日が平穏だったからこそ、冷静に考え、動けるチャンスがあったということです。
たった5分でもいいのです。引き出しに入れたライトを点けてみる、水の賞味期限をチェックする。
それだけでも「無事な日にできた行動」として、あなたの防災力は一歩前進しています。
備えることに熱心な人ほど、一度しっかりと準備をして、そのまま長い間放置してしまう傾向があります。
非常用持ち出し袋を完璧に整えたことで満足し、2年後に中を開けたら電池が切れていた、というのはよくある話です。
防災は、一度きりの行動ではなく、繰り返し、見直し、続けることが大切です。
だからこそ、「今日何もなかった」日を、次の備えの一歩につなげていく意識が必要になります。
たとえば、月曜日には水の確認、火曜日は充電器のチェック、水曜日は避難ルートの再確認。そういった小さな習慣を組み合わせるだけで、日常がまるごと防災に変わります。
何も起きなかった一日は、何もせずに終わっていい日ではありません。
むしろ、平穏な日々は、備えがあってこそ守れるものです。
災害の被害をゼロにすることはできませんが、減らすことはできます。
その差を生み出すのは、誰かの行動ではなく、自分自身の備えです。
そして、その備えは、今日という「何もなかった」日にしか始められません。
平穏な日が続くのは、ありがたいことです。
そしてそれは、行動するための時間を私たちに与えてくれているのです。
今日、何も起きなかったこと。それは偶然の安心ではなく、防災を進めるための貴重な時間です。
備えは非常時にするものではなく、平常時にしかできないもの。
だからこそ、何もなかった日を無駄にせず、ひとつでもいい、行動を積み重ねていくことが、未来を守る力になります。
今日の「無事」が、明日の「安心」につながるように。
今、この瞬間からできることを始めていきましょう。