中小企業はなぜ防災対策に取り組むべきなのか?
日本は地震や台風などの自然災害が頻発する国です。
2011年の東日本大震災では、多くの中小企業が被災し、甚大な被害を受けました。
その後の北海道胆振東部地震では、全道停電によるブラックアウトが発生し、2019年の台風19号では、千葉県内で鉄塔や電柱の倒壊によって、最大64万戸あまりが停電。 完全に復旧するまで、19日間かかりました。
中小企業は、大企業に比べて防災対策にかけるリソースが少ないため、より大きなリスクを抱えています。
しかし、防災対策を怠れば、災害時に大きな損失を被るだけでなく、事業継続にも影響が出る可能性があります。
そこで、中小企業が防災対策に取り組むべき理由を以下にご紹介します。
中小企業の防災対策で基本として押さえておきたいポイント
1. とにかく生き残る
防災対策の第一の目的は、人命を守ることです。
そのため、まずは、地震や火災などの災害が発生した場合でも、従業員が安全に避難できる体制を整えることが重要です。
具体的には、避難経路や避難場所を明確に決めておき、従業員に周知徹底しておくことが大切です。
また、避難用具や非常食などの備蓄も忘れずに行いましょう。
2. 優先順位をつける
防災対策は、すべてを行うことができません。
そのため、自社の状況やリスクに合わせて、優先順位をつけて対策を進めることが重要です。
たとえば、地震の多い地域では、地震に強い建物や設備を導入するなどの対策が重要です。
また、火災の多い地域では、消火器や防火設備を設置するなどの対策が重要です。
3. 災害対策の見直し・検討
防災対策は、一度行ったら終わりではありません。
災害の状況や自社の状況が変わるたびに、見直し・検討を行い、対策を継続的に改善していくことが重要です。
たとえば、地震が発生した場合は、建物の損壊状況や従業員の安否を確認して、対策を修正する必要があります。
また、火災が発生した場合は、消火設備の不備や従業員の避難方法に問題がなかったかを確認して、対策を改善する必要があります。
中小企業において災害対策を継続して行うには、策定した対策に基づき、避難訓練や安否確認訓練などを行い、足らない点や不備を見つけ出します。
そこで出てきた問題点を見直し・改善していかなければなりません。
これは、PDCAというサイクルを使って、自社の災害対策を定期的に見直し・改善し続ける仕組みを行い続けます。
なぜ?なに? PDCAサイクルとは?
PDCAサイクルとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)の4つのプロセスを継続的に繰り返すことで、防災対策だけではなく、業務改善や目標達成を目指すフレームワークです。
PDCAサイクルは、1950年代に米国の品質管理学者であるW・エドワーズ・デミングによって提唱されました。
デミングは、PDCAサイクルを「改善の原理」と定義し、企業の品質管理に活用することを提唱しました。
PDCAサイクルは、個人や組織のあらゆる場面で活用することができます。
例えば、新規事業の立ち上げ、業務改善、問題解決など、幅広い場面で活用されています。
PDCAは、4つのステップを繰り返して行われます。
Plan(計画)
まず、目標を明確にし、達成するために必要なことを計画します。
このとき、現状を分析し、課題を洗い出すことが必要です。
Do(実行)
計画を実行します。
このとき、計画通りに実行できるように、周囲の協力や調整をすることが重要です。
Check(評価)
実行した結果を評価します。
このとき、目標を達成できたかどうか、課題は解消できたかどうかを確認します。
Action(改善)
評価の結果をもとに、必要に応じて計画を修正または改善します。
このとき、PDCAサイクルを継続して行うことが重要です。
PDCAは、仕事やプロジェクトを成功させるための万能ツールではありません。
しかし、PDCAをうまく活用することで、問題を解決したり、効率を改善したり、新たな目標を達成したりすることができます。
PDCAを習得して、仕事やプロジェクトを成功に導きましょう。
PDCAをうまく活用するためのポイント
PDCAをうまく活用するためには、以下のポイントを押さえておく必要があります。
・目標を明確にする
・現状を分析する
・課題を洗い出す
・計画を実行する
・結果を評価する
・必要に応じて計画を修正または改善する
・PDCAサイクルを継続する
PDCAは、4つのステップを繰り返して行われます。
しかし、PDCAをうまく活用するためには、4つのステップを独立して行うのではなく、相互に関連付けて行うことが重要です。
たとえば、Plan(計画)の段階で、現状を分析し、課題を洗い出しておけば、Do(実行)の段階で、より効果的な計画を立てることができます。
また、Check(評価)の段階で、結果を評価し、必要に応じて計画を修正または改善することで、PDCAサイクルを継続して行うことができます。
PDCAは、仕事やプロジェクトを成功させるための万能ツールではありません。
しかし、PDCAをうまく活用することで、問題を解決したり、効率を改善したり、新たな目標を達成したりすることができます。
PDCAを習得して、防災対策だけではなく、仕事やプロジェクトを成功に導きましょう。
自社の災害リスクを考える
中小企業は、大企業に比べて防災体制が脆弱な傾向にあります。
しかし、近年は、中小企業も災害の被害を受けることが少なくありません。
そのため、中小企業は、自社の災害リスクを把握し、適切な防災対策を講じる必要があります。
中小企業の災害リスクは、その業種や所在地によって異なります。
例えば、地震や台風などの自然災害のリスクが高い地域に所在する中小企業は、これらの災害に備えた防災対策を講じる必要があります。
また、製造業や建設業などの危険物を取り扱う中小企業は、火災や爆発などのリスクに備えた防災対策を講じる必要があります。
中小企業の防災対策の基本は、自社の災害リスクを把握することです。
自社の災害リスクを把握するためには、ハザードマップや過去の災害のデータを参考にします。
ハザードマップは、地震、津波、洪水、火山などの災害の発生可能性を地図上に示したものです。
過去の災害のデータを参考にすることで、自社がどの災害に最も影響を受けるかを把握することができます。
ハザードマップ等で自社の拠点がある地域の災害リスクを確認する
国土交通省や気象庁のデータや都道府県や市区町村が定めている「地域防災計画」などで、自社の災害リスクを確認します。
地震・津波
・自社が所在する市区町村のホームページで確認する。
『検索例:○○市 地震想定』
・津波ハザードマップ
河川の氾濫・内水氾濫・高潮
・洪水ハザードマップ
・内水氾濫ハザードマップ
・高潮ハザードマップ
土砂災害
・土砂災害ハザードマップ
おススメのWEBサイト
国土交通省
ハザードマップポータルサイト
https://disaportal.gsi.go.jp/
かさねるハザードマップ
洪水・土砂災害・高潮・津波のリスク情報、道路防災情報、土地の特徴・成り立ちなどを地図や写真に自由に重ねて表示します。
わがまちハザードマップ
市町村が法令に基づき作成・公開したハザードマップへリンクします。
国立研究開発法人 防災科学技術研究所
地震ハザードステーション
https://www.j-shis.bosai.go.jp/
試験的に作成しているコンテンツでは、さまざまな地震に関するデータを見ることが出来ます。
地震ハザードカルテ
https://www.j-shis.bosai.go.jp/labs/karte/
地震ハザードカルテを作成する地点を指定し、「診断する」ボタンをクリックすると地震ハザードカルテが作成されます。
診断する地点は、地図上をクリックして指定するか、住所から検索して指定することができます。
まとめ
中小企業の防災対策は、自社の災害リスクを把握し、そのリスクに応じた対策を講じることが重要です。
防災対策を万全にしておけば、災害が発生したときにも、被害を最小限に抑えることができます。