首都直下地震で起こりうる群衆雪崩とは?

首都直下地震で起こりうる群衆雪崩、その危険性と対策

首都直下地震は、東京や神奈川、千葉、埼玉などの首都圏において、マグニチュード7.0以上の大地震が起こる可能性が高い地震です。この地震が発生した場合、地震による被害に加えて、帰宅困難者による群衆雪崩のリスクが高まると考えられています。

群衆雪崩とは

群衆雪崩とは、人の密集した空間で、後方の人が前方の人を押し倒したり、群集内のもたれあいが崩れることで転倒が広がる事故です。
雑踏事故とも呼ばれます。

群衆雪崩が発生するメカニズム

群衆雪崩は、人が密集した場所で発生する災害です。
1人が倒れると、その隙間に人が倒れ込み、その隙間にまた人が倒れ込むというように、雪崩のように人が倒れ込んでいくのが特徴です。

群衆雪崩が発生するメカニズムは、大きく分けて2つあります。

1つは、群集圧力によるものです。群衆が密集していると、後ろから押される力が大きくなり、前の人が浮き上がるような状態になります。
この状態は、ある程度のバランスが取れています。
しかし、何かのきっかけで、このバランスが崩れると、前の人が倒れ込みます。
すると、その隙間に人が倒れ込むことで、さらにバランスが崩れ、雪崩のように人が倒れ込んでいきます。

もう1つは、パニックによるものです。
群衆雪崩が発生するような状況では、多くの人がパニックに陥ります。
パニック状態になると、冷静な判断ができなくなり、混乱が生じます。
その結果、群衆の動きが不規則になり、雪崩のように人が倒れ込んでいくことがあります。

群衆雪崩の危険性

群衆雪崩は、非常に短時間で多くの死傷者を出す可能性があります。
2001年7月21日に兵庫県明石市の歩道橋で発生した群衆雪崩では、花火大会の見物客が転倒し、11人が死亡し、183人がけがを負いました。

韓国で発生した群衆雪崩

2022年10月29日の夜、韓国の首都・ソウル特別市の繁華街・梨泰院でハロウィン時季の混雑の中で群衆雪崩による事故が発生しました。
事故は、梨泰院駅前にある、幅3.2メートル、長さ45メートルほどの緩やかな坂道で発生しました。

当時は、新型コロナウイルスの規制が緩和されて3年ぶりのハロウィンで、多くの若者が集まっていました。

事故のきっかけは、坂の上の方から突然、人々が折り重なるように倒れたことです。
人々は押され、坂の中ほどから少し上の部分の延長5.7メートル、幅員3.2メートルの面積18.24平方メートル内の人々が特に強い圧迫を受け、結果、300人以上が折り重なり、多数が呼吸困難に陥りました。

この事故により、159人が死亡し、650人以上が負傷しました。
死亡者の中には、日本人も2人含まれていました。

韓国政府は、事故の原因について、現場の道路が狭く、一方通行などの交通規制がされていなかったこと、ハロウィンの混雑を想定していなかったこと、警備体制が不十分であったことを指摘しています。

群衆雪崩での死因

群衆雪崩での死因は、主に窒息死です。
群衆が密集して圧迫されると、胸部が圧迫されて呼吸ができなくなり、酸欠状態に陥ります。酸欠状態になると、意識を失い、心停止を起こして死亡します。
また、転倒や押しつぶされて骨折や内出血を起こし、死亡することもあります。

首都直下地震における群衆雪崩のリスク

首都直下地震が発生した場合、都内だけでおよそ450万人の帰宅困難者が出ると予測されています。
帰宅困難者が駅や地下鉄、道路などの交通機関に集中すると、群衆雪崩が発生するリスクが高まります。

また、夜間に帰宅困難者が移動する際に、周囲が見えづらく、混乱もしやすいため、群衆雪崩が発生しやすくなります。

群衆雪崩を防ぐための対策

群衆雪崩を防ぐためには、以下の対策が有効です。

・首都直下地震への備えをしておくこと
・帰宅困難者による混乱を避けるための対策を講じること
・群衆雪崩が発生した際に、冷静な行動をとること

帰宅困難者による混乱を避けるための対策

帰宅困難者による混乱を避けるための対策として、以下の対策が有効です。

・帰宅を急がない
・職場や学校に泊まる
・一時滞在施設を利用する

群衆雪崩が発生した際に、冷静な行動をとることが重要です。

まとめ

首都直下地震は、帰宅困難者による群衆雪崩のリスクが高まる地震です。
首都直下地震への備えをしておくこと、帰宅困難者による混乱を避けるための対策を講じること、
群衆雪崩が発生した際に、冷静な行動をとることが重要です。