気象庁の長周期地震動階級とは?

気象庁の長周期地震動階級とは?

地震の揺れの大きさは、通常、震度で表されます。
しかし、高層ビルでは、地震の揺れの大きさが震度だけでは十分に表現できない場合があります。
そのため、気象庁では、高層ビルにおける地震の揺れの大きさを4つの階級に区分した「長周期地震動階級」を導入しています。

長周期地震動とは

地震の揺れは、その周期によって、短周期地震動と長周期地震動に分けられます。
短周期地震動は、周期が短いため、揺れの波形は急峻で、強い揺れを感じます。
一方、長周期地震動は、周期が長いため、揺れの波形は緩やかで、揺れの大きさは小さくなります。

長周期地震動階級の概要

長周期地震動階級は、高層ビルにおける、地震時の人の行動の困難さの程度や、家具や什器の移動・転倒などの被害の程度から、4つの階級に区分されています。

階級 人の行動の困難さ 被害の程度
ほとんどの人が揺れを感じる。驚く人もいる。 家具や什器の移動・転倒がみられる。
室内で大きな揺れを感じ、物につかまりたいと感じる。物につかまらないと歩くことが難しいなど、行動に支障を感じる。 家具や什器の倒壊・転倒がみられる。
立っていることが困難になる。 家具や什器の倒壊・転倒が広範囲にみられる。
立ることができず、はわないと動くことができない。揺れにほんろうされる。 家具や什器の倒壊・転倒が著しく、建物に被害が出る。

長周期地震動階級の計算方法

長周期地震動階級は、地上に設置している地震計の観測データから求めた絶対速度応答スペクトル(Sva)の周期1.6秒から周期7.8秒までの間における最大値の階級で表されます。

長周期地震動階級の予測

気象庁では、2023年2月1日より、長周期地震動階級の予測を開始しました。
緊急地震速報の発表基準にも追加されており、今後、より広く活用されるようになると考えられます。

高層ビルにお住まいの方へ

高層ビルにお住まいの方は、長周期地震動階級について知っておくことで、地震の揺れに備えることができます。
また、長周期地震動階級の予測情報を活用することで、より効果的な避難行動をとることができます。

まとめ

長周期地震動階級は、高層ビルにおける長周期地震動の揺れの大きさを表す指標です。震度だけでは高層ビルにおける揺れの程度を正確に表すことができないため、長周期地震動階級を知っておくことは大切です。