迷探偵ルナの防災事件簿
地震対策の闇 第1話(全6話)
「地震が来る!」
ルナは教室で突然叫んだ。
周りの生徒たちは驚いて彼女を見たが、すぐに冷ややかな目で見返した。
ルナはいつも妄想癖で変なことを言っているから、誰も彼女を信じなかった。
ルナは自分の机に飛び込んで、頭を守った。
「何やってんだよ、ルナ。地震なんか来てないじゃん」
隣の席のユウキが呆れた声で言った。
「来るってば!今日は地震予知研究所の発表があるんだよ。午後三時に大地震が起きるって言ってたんだ」
ルナは必死に説明した。
「そんなの信じるなよ。地震予知なんてできるわけないじゃん。科学的根拠もないし、当たったこともないし」
「でも、でも、私は感じるんだよ。地震が来るって。この学校は耐震性が低いから、危ないんだよ。早く避難しなきゃ」
「はいはい、わかったわかった。じゃあ、君は一人で避難しておいてね。僕らは授業を受けるよ」
ユウキはそう言って、先生に目配せした。
先生はルナに近づいて、優しく話しかけた。
「ルナさん、落ち着いてください。地震予知研究所の発表は信用できませんよ。あれはただの詐欺です。あなたは防災マニアだから、そういうことに敏感になりすぎてしまうのです」
「詐欺じゃないって!本当に地震が来るって!」
ルナは頑なに抵抗した。
「分かりました。では、あなたは一人で体育館に行ってください。そこで待機していてくださいね。もし地震が起きたら、僕がすぐに迎えに行きますから」
「本当?」
「本当ですよ」
「じゃあ、わかった。でも、後悔するよ」ルナはそう言って、教室を出て行った。
先生と生徒たちは安堵した顔をした。
「やれやれ、またルナの妄想かよ」という声が聞こえた。
しかし、その数分後、予想外のことが起きた。
突然、大きな揺れが学校全体を襲った。
地震だった。
つづく
この小説はフィクションです。実在の人物や団体とは関係ありません。