迷探偵ルナの防災事件簿 老朽アパートの幽雅な防災
天空ルナ(あまそらるな)は、16歳の女子高生で妄想癖のある防災マニアだった。
防災を積極的に活用して、すべて妄想で事件を解決する特技を持っていた。
防災にあまり関心のないユキという親友がいた。
ユキは、ルナの妄想に付き合わされることが多く、時々困っていた。
ある日、ユキと下校中、とある老朽アパートを見つけた。
大きい地震がきたら、簡単に倒壊しそうな建物だった。
ルナは、興味を持って近づいてみた。
「ねえねえ、ユキ。このアパート、見た目はボロでも中身は最新のテクノロジーで免振耐震が備えられてるんだよ。各部屋も上品も壁紙が貼ってあり、とても奥ゆかしい内装なんだよ。備蓄もしっかりしていて、在宅避難対策もバッチリ!」
「えっ?どうしてそんなこと知ってるの?」
「だって、これは裏不動産屋からの情報しかなく、住民も裏世界の人たちなんだよ。だから、家賃は格安の月2万円代からなんだよ。」
「・・・・・・」
「ほらほら、このドアに貼ってあるシールを見てごらん。これは、免振耐震証明書なんだよ。このアパートは、地震に強いんだよ。」
「でも、これはただのシールじゃない?」
「そう見えるけど、実はこれはQRコードになっていて、スマホで読み取ると免振耐震証明書の詳細が見られるんだよ。」
「そうなの?じゃあ、読み取ってみてよ。」
「ええと・・・あれ?読み取れない・・・」
「やっぱりただのシールでしょ?」
「うーん・・・でも、これはきっと偽物じゃなくて本物なんだよ。裏世界の人たちは、表に出せないからこういう方法で隠してるんだよ。」
「・・・・・・」
ルナの妄想を聞いて、げんなりするユキ。
ユキは、たまたま建物前で掃除をしている大家さんに建物の防災対策をきいてみた。
「すみません、このアパートはどういう防災対策をしていますか?」
「防災対策?ああ、この建物は来週には老朽化で取り壊すんですよ。だから誰も住んではいませんよ。新しく建てるアパートはちゃんと防災対策をしますけどね。」
「えっ?そうなんですか?じゃあ、このシールは何ですか?」
「ああ、これは前に住んでた人が貼ったものですよ。免振耐震証明書だって言ってましたけど、ただのシールですよ。笑わせてくれましたね。」
「やっぱり・・・」
ルナは自分の妄想が当たらなかったことにショックをうけ、コンビニでコロッケを買っていこうとユキに提案した。
ルナはコロッケを食べれば妄想力が復活すると妄想していた。
だが、ユキに晩御飯が食べられなくなるんじゃない?と注意を受けた。
「でも、コロッケは防災食にもなるんだよ。揚げ物はカロリーが高くて、エネルギーになるんだよ。」
「それはそうだけど・・・」
「それに、コロッケは美味しいんだよ。美味しいものを食べると幸せになるんだよ。」
「それもそうだけど・・・」
「じゃあ、一個だけ買っていこうよ。一個なら晩御飯に影響しないでしょ?」
「・・・・・・まあ、一個ならいいかな。」
「やった!じゃあ、行こう行こう!」
ルナはユキの手を引いて、コンビニに向かった。
ユキは苦笑しながら、ルナの後についていった。
おわり
この小説はフィクションです。実在の人物や団体とは関係ありません。