迷探偵ルナの防災事件簿 横浜市防災センター殺人事件
「ルナちゃん、今日はどこに行くの?」
ユキは、親友のルナに尋ねた。
ルナは、妄想癖のある防災マニアで、よく防災に関する場所や物を見に行くのだ。
「今日はね、横浜市防災センターに行ってみたいなって思ってるの。あそこには、地震や火災などの災害体験ができる施設があるんだって。すごく興味があるんだよね」ルナは、目を輝かせて答えた。
「えー、そんなところに行くの?つまらなそうじゃない?」
ユキは、防災にあまり関心がなくて、ルナの趣味についていくのが面倒だった。
「だって、防災は大事なことだよ。もしも災害が起きたら、どうすればいいか知っておかないと、命に関わるかもしれないんだよ。それに、妄想するのも楽しいんだよ。例えばさ、今から地震が起きたらどうする?」ルナは、ユキに質問した。
「えっと、まずは机の下に隠れる?」ユキは、適当に答えた。
「そうそう。でもね、それだけじゃないんだよ。机の下に隠れたら、次に何をするか考えなきゃいけないんだよ。例えばさ、この建物が倒壊したらどうする?」ルナは、さらに質問した。
「えーと、出口を探して逃げる?」ユキは、また適当に答えた。
「そうそう。でもね、それだけじゃないんだよ。出口を探して逃げたら、次に何をするか考えなきゃいけないんだよ。例えばさ、外に出たら津波が来ていたらどうする?」ルナは、もっと質問した。
「えーと、高いところに登る?」ユキは、さらに適当に答えた。
「そうそう。でもね……」
「もういいよ!わかったわかった!防災は色々考えなきゃいけないんだね!でもさ、そんなことばっかり考えてて楽しいの?私は普通にショッピングとかした方が楽しいと思うけど」
ユキは、ルナの質問攻めにうんざりして言った。
「でもさ、防災は普通じゃないから面白いんだよ。普段と違う状況に置かれて、どうやって生き残るか考えるのってスリルがあってドキドキするじゃない?それに、妄想することで現実から逃げることもできるんだよ。現実ってつまらなくて辛いことが多いじゃない?でも妄想するときは自分が主人公で何でもできるんだよ。それが私の特技なんだよ。妄想で事件を解決する迷探偵ルナなんだよ」
ルナは、自分の世界に入って言った。
「ふーん、そうなんだ。でもさ、妄想ばっかりしてないで、現実にも目を向けた方がいいと思うよ。現実にも楽しいことや幸せなことはあるんだよ。それに、妄想で事件を解決するって、どういうこと?」
ユキは、ルナの言葉に疑問を感じた。
「それはね、私が妄想した事件を、私が妄想した手がかりや証拠で解決するってことなんだよ。例えばさ、今からこの防災センターで殺人事件が起きたらどうする?」
ルナは、ユキにまた質問した。
「えっ?殺人事件?そんなこと起きないよ!」
ユキは、驚いて言った。
「起きるかもしれないじゃない。妄想だからね。じゃあね、この防災センターで殺人事件が起きたとしてね、被害者は誰だと思う?」
ルナは、無視して言った。
「えーと、誰かな……あの受付のお姉さん?」
ユキは、適当に言った。
「そうそう。じゃあね、その受付のお姉さんが殺されたとしてね、犯人は誰だと思う?」
ルナは、さらに言った。
「えーと、誰かな……あのガイドのお兄さん?」
ユキは、また適当に言った。
「そうそう。じゃあね、そのガイドのお兄さんが犯人だとしてね、動機は何だと思う?」
ルナは、もっと言った。
「えーと、何かな……あの受付のお姉さんに恋していて振られたから?」
ユキは、さらに適当に言った。
「そうそう。じゃあね、そのガイドのお兄さんが受付のお姉さんを殺したとしてね、凶器は何だと思う?」
ルナは、もっともっと言った。
「えーと、何かな……あの消火器?」
ユキは、もっともっと適当に言った。
「そうそう。じゃあね、その消火器で受付のお姉さんを殴り殺したとしてね、証拠は何だと思う?」
ルナは、もっともっともっと言った。
「えーと、何かな……あの消火器についた血痕?」
ユキは、もっともっともっと適当に言った。
「そうそう。じゃあね、その消火器についた血痕が証拠だとしてね、私がそれを見つけて警察に通報したらどうなる?」
ルナは、最後に言った。
「えーと……犯人が捕まって事件が解決する?」
ユキは、最後に答えた。
「そうそう!やったね!私たちが事件を解決したよ!すごくない?これが私の妄想で事件を解決する特技なんだよ」
ルナは、満足そうに笑った。
「……」
ユキは、呆れて無言になった。
おわり
この小説はフィクションです。実在の人物や団体とは関係ありません。